dorivenの日記

気がついたら社会人。気になる技術的なことについて少しずつ書いていけたらと思っております。

【書評】すぐやる!「行動力」を高める 科学的な方法

TL;DR

本書はやる気という個人によって異なる不確かなものに対してアプローチするのではなく、脳科学の観点から行動に移せるようなアプローチの方法を紹介する本である。 五感を使って脳にすぐに行動を移せるようにアプローチをする方法が科学的な知見から紹介されている。 結果、私はこの本の書評を書くことが出来たので「すぐに行動できない」自分に嫌気がさしている僕のような人は是非手に取って読んでほしい一冊だ。

本の紹介

概要

この本はすぐやる行動力を高めるためにやる気という個人によって異なる不確かなものに対してアプローチするのではなく、 脳科学の観点から行動に移せるようなアプローチの方法を紹介する本である。

要約

  • すぐやらない、できない状態は意思の力の問題ではなく脳が動きやすいように仕向けられていないから
  • すぐやるには脳の働きやすい状況にするための事前準備として睡眠の管理を行う必要がある
  • やる気を阻害するものは見せない・見せないのが出来ないなら定位置に置く
    • やらない状態を引き起こす行動(例: テレビを見る)に起因するもの(例: リモコン)は目に入れてしまうと脳が葛藤を起こして疲れてしまうのでそもそも目に入れない
    • それでも停められない場合は起因するものを定位置に置いてルーチン化して脳に余裕を与えることで、脳がストップをかけやすくなる
    • しばらくやらないことで脳が好きだという後付けの理由をなくすことが出来る
  • フィードフォワード・フィードバック
    • フィードバックは外界の情報を受けて動作をより正確に行うために修正する作用
    • フィードフォワードは脳が考えている目的を達成するためにどうあるべきかを予測してい行動を決めるシステム
    • フィードフォワードを働かせてすぐやる週間を作るにはやる必要があるものと普段の行動に連続性を持たせてあげることことで脳が次の行動の予測を立てて行動しやすくなる
      • 例: 帰宅したらダラダラして勉強できない → 帰宅したらすぐに参考書とノートを出して1行目に日付を書く
  • ミラーニューロン効果
    • 身近にいる人の行動を無意識に真似て自己の体感として得ようとする作用
    • 居る出来る人のそばにいれば出来る行動を真似、結果的にできるようになる
    • 逆に出来ない人のそばにいれば出来ないようになる
    • ミラーニューロン効果ですぐやるようになるためにはできる人と同じ向きの横並び状態になることで脳が向きの変換を行う手間をかけることなく真似がしやすくなる
  • 経験的な言葉 = わざ言語を使う
    • 「しゃべること」と「体を動かすこと」は脳の同じ部位を司っているので、「言語」を「行動」に変えることが可能
    • 主観的, 客観的, 経験的な言葉がある
      • 右手が動かない患者の例
      • 主観的: 力が入らない
      • 客観的: 動かない
      • 経験的: 鎧を着ているようだ
    • 脳は経験的な言葉を交わすことで次の行動のシュミレーションが可能
    • 自分がやりたいことを経験的な言葉で交わすようにすると行動に移しやすくなる
    • 自分の体験から組み立てた言葉 =「わざ言語」
    • 自転車が乗れる人の「わざ言語」を聞いても乗れない人が理解できないように、「やる人」「やらない人」でも同様のことが起きている
    • 「やる人」の「わざ言語」を実際に真似てみて、自身の経験に置き換えることで「やる人」に近づけることは可能
    • 逆に やっていない(自身の経験がない) にも関わらずやればできるという「わざ言語」に置き換えるとどのように行動してよいか脳はわからなくなる
    • 結果的に「やっていないことをできる」と欺かれた脳は、出来ないので罪悪感が生まれ小さな成功も無視する状態になる
      • ポジティブ・ネガティブという気持ちの問題ではなくドーパミンの作用によるもの
    • 「できるはず」というやってもいないものを追うのではなく、小さくても良いので出来たことの成功体験を認めてそれを言葉にして「わざ言語」にしていくことが大事
    • 自分が望まない状態(先延ばしにする)を言葉にするとどんどん「すぐにできない人」になってしまう
  • メンタル文法
    • 受け取った言葉を脳が自分の言葉に変換するフィルターをメンタル文法と呼ぶ
    • メンタル文法を変えることで脳の理解を変えて「すぐやる」脳の状態に変えていける
    • 「【○○】ならすぐやる」という自分に合うメンタル文法を作ることでモチベーションの源泉となるキーワードを見つける
      • 例: 「人のためならすぐやる」「頼られたらすぐやる」「許せないことはすぐやる」など
    • 列挙した中で自分のモチベーションが高まるような語感のよいキーワードを見つけてメンタル文法を言葉を生成する
  • 触る力
    • 人間は触覚で感じたことを無条件に信じる
    • 触覚が豊かになると脳が正しく指令をだして体を動かしやすくなる
    • 「触られる」より「触るほう」がポジティブな触覚を得られる
  • 脳の慢性疲労はネガティブのもと
    • 脳は普段行っている行動を週間やクセにすることで体を動かすときにあまり指示をだす必要性をなくしている
    • 一方で脳は新しいことをやると指示を沢山ださなければならず疲労してしまい結果的にすぐやらない状態になってしまう
    • 「何も考えずにできること」は極力毎日同じルーチンにすること、「やらなくても困らないこと」はあえてやらずにすませることで脳の疲労を抑えられる
    • そのため日常でいつも通りに過ごすことで脳に余裕を作ることで、重要な場面で「すぐにやる状態」にすることが出来る

感想

この本を受けてまさしく自分にとっては今までのすぐやることができなかった自分と、自分へ抱いている感情がなぜ起きているのかというのがわかった。 そしてどうすれば行動できるのかといういくつか具体的な方法が紹介されており、自分も取り入れてみることで早速本書の書評を書くことが出来たので効果を感じた一冊だった。

具体的に自分はどのような状態だったかというと、 過去に一念発起して控えめな自分にしては大胆に行動にうつして成功してきた体験が何度かあるため、なんとなく根拠のない「やればできる」という気持ちがあった。 しかしこの本で「やればできる」という言葉は「わざ言語」として身につけられていないために、 脳が混乱して行動に移すことができずに生まれた罪悪感から更に自分が次にする行動に期待感が高まって更に罪悪感が高まるという悪循環があることが述べられている。 これを読んではまさしく自分だと思った。 それをやる気という不確かなもので自分を責めてメンタル言語を歪め、更に行動に移し辛くするという自ら「すぐに行動できない」状態を作り出していた。 だがこの本を受けてやる気という不確かなものに頼るのではなく、五感を使ったアプローチでどのようにすれば「すぐに行動」できる脳になるのかが述べられており、 自分の中でも以下のように取り入れられそうなTipsがいくつかあったので早速取り入れてみた。

  • 家に帰ったらすぐにノートパソコンを広げてKindleで読みたい本を開いておくことで、読書を促す
  • 新しく本を読み始めたらエディタを開いてすぐに書評を書くファイルを用意して、書評を入力するテンプレートにタイトルだけを入れておく
  • ○○ならすぐやるというメンタル文法を見つけて「すぐやる」必要があるときに唱える

ただこの中で唯一「触覚」に関しては具体的にどのように取り入れていけば「すぐに行動」できるようになるのかのイメージがつかめなかった。 これに関してはもうちょっと具体的な例やエクササイズを出してくれても良かったのではないかと思っている。

駄目な点も上げたが結果的に今この本の書評をかけているので、自分にとっては非常にためになった一冊だった。 もしまた「すぐに行動できない」自分になってしまったときに改めてこの本や書評を読み返して「すぐに行動できる」自分を取り戻せたらと思う。

特に「すぐに行動に移せない」自分へ罪悪感を感じている人がこれを読んでいるならぜひとも手にとってほしい。 その罪悪感もすぐにやれないのもの個人の特性の問題ではなく全て脳がそのような状態になってしまっているだけで変えられることに気づくことが出来るということに気づけることを願っている。